相続の準備と対策

相続人(遺される側)は約80%が心配している

そもそも「相続」とは一体何か?

それは、「遺産の分割(遺産の行き先を決めること)」「資産を減らさず次世代に継承すること(相続税対策)」です。

よくある「相続で争族」とは、遺産の分割で揉めることです。

財産の大小を問わず全ての人がするべき準備です。

遺言書だけでは、財産の分配で不平不満が生じ「争族」に発展してしまったり、相続税の納税資金で苦しんだり…

つまり「相続の準備・対策」とは大きく分けて次の2つで、これらは、遺す側がするべきことです。

  • 遺産分割で不平不満が出ないようにし、「争族」を回避する。
  • 財産を傷付けず次世代に引き継ぐ相続税対策をする。

【注意点】

  • 生前の判断力のある期間にしかできない
  • 認知症になると対策不可能
  • 時間をかけるほど効果が大きい

相続に対する3つの誤解

相続対策はお金持ちがするもの?

  • 「遺産分割協議」の対策とは、遺産の大小を問わず相続人たちが遺産の取り分で揉めることがないようにしておくことで、すべての人に必要なことです。
  • 「相続税の納税」の対策とは、相続人が納める相続税の負担をできる限り軽減してあげることです。

法定相続分は守られる?

  • 遺言書がない時や、遺産分割協議をしなかった場合の割合で、単なる目安です。ちなみに、「遺留分」は守られます。

元気なうちに相続の話をするのは不謹慎?

相続の話を家族ですることは、不謹慎ではありません。その理由は?

  • 被相続人がお金の知識に強いとは限らない
  • 死期間際に考えたとしても正常な判断が下せるか分からない。
  • 認知症になったら対策不可能。
  • 相続は、複数の当事者が関わることが多く、無対策の場合「争族」になりやすい。
  • 相続対策のメリットは、時間をかけるほど効果が大きく、早期実行が望ましい。

相続の準備とは

「相続の準備」のほとんどは、

「次世代の仲を壊さないための円満な遺産分割の意思表明」

「次世代に引き継ぐ相続財産をできるだけ相続税で傷付けないための対策」

に絞られます。

相続で一族が揉めてしまうことを、争族(そうぞく)といいます。

「うちは家族仲がいいから大丈夫」「そんなに多くの財産がないから大丈夫」と思ってい
ても、相続対策をないがしろにしていると本人が亡くなった後に一族が争ってしまうケー
スは少なくありません。

遺産額が少ないからといって争族が起こらないというわけではありません。

遺産分割事件のうち許容・調停成立件数のデータ(令和5年)

【遺産の価額別統計】

遺産の価値件数構成比
1,000万円以下2,448件33.8%
1,000万円超~5,000万円以下3,166件43.8%
5,000万円超~1億円以下863件11.9%
1億円超~5億円超494件6.8%
5億円超33件0.5%
算定不能・不詳230件3.2%

【申立区分】

相続人の区分件数構成比
6,247件85.9%
配偶者1,263件17.4%
※複数選択可のため合計は一致しない。

【審理期間別統計】

審理期間件数構成比
1か月以内35件0.5%
1か月超~3か月以内606件8.3%
3か月超~6か月以内1,283件17.6%
6か月超~1年以内2,317件31.7%
1年超~2年以内2,019件27.7%
2年超~3年以内626件8.6%
3年超411件5.6%

遺産分割とは

遺産分割協議とは、法律で決められた相続人が全員参加して、相続財産の分け方を決定する手続をいいます。遺産分割がなければ、相続手続きを進めることができません

不動産の名義も被相続人(故人)のままですし、預貯金も解約することができません。

遺産分割がなければ、相続財産は相続人全員の共有状態のままとなりますので、誰が相続財産を管理するのか定まらず、費用立替えの部分でも宙ぶらりんのままになってしまいます。

また、相続財産が分けやすいものばかりとは限らず、不公平や不平不満が生じる場合も多くあります。

遺産分割には主に4つの方法があります

分割方法特徴メリット注意点
現物分割財産をそのまま各相続人に分ける・最もシンプル
・手続きが簡単
・価値の差が生じやすい
・公平性の確保が困難
代償分割一人が財産を取得し、他の相続人に金銭を支払う・公平な分割が可能・代償金の準備が必要
換価分割財産を売却して金銭で分ける・最も公平
・分割しやすい
・売却費用がかかる
・思い出の品も売却
共有分割財産を共有名義にする・とりあえずの解決
・現状維持は可能
・将来トラブルの原因
・管理が複雑化

すべてに注意点はあります。

特に、財産の名義が共有になると、相続毎に名義人が増えて管理や売却が大変になる場合が多
いので、共有名義はお勧めできません

しかし、不公平な遺産分割では「争族」になるかもしれない。

つまり、不公平が出そうな場合、調整するための「分けやすい財産」が必要となります。

では、貯金しておけば良いか?というとそうではなく、生命保険のような相続発生時に現金が
届き、その現金で不公平などを調整する対策をお勧めします。

財産をできるだけ傷つけない相続税対策

相続財産が一定額を超えると、相続税を納める必要があります。

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

で、これを超えると申告が必要になります。

夫婦のどちらかが亡くなった場合には配偶者控除で相続税がほとんどかからない場合もあります。しかし、その後、配偶者が亡くなった場合は配偶者控除がないため二次相続で相続税が多額になる可能性が高いです。

特に、都心部に土地や物件を所有している場合は要注意。評価額の高い不動産が相続財産に入っていたために相続税が高額になり、相続税を支払うために不動産を売って退去しなければいけなくなったケースもあります。

相続の際にかかる相続税を軽減し、少しでも多くの財産を渡せるようにするためにも相続税対策には真剣に取り組みましょう。

相続税の納税資金の準備は、保険料以上の保険金が届く終身保険が効果的と言えます。

生命保険を相続対策に活用する6つのメリット

前述したとおり、相続対策との相性が良いのが、生命保険です。

生命保険は、相続税対策にも有効ですが、遺産分割において不公平を減らす活用方法も有効です。

生命保険を相続に活用した際のメリットを6つ紹介していきます。

保険金の非課税枠を使える

死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象です。

しかし、死亡保険金の受取人が法定相続人の場合『500万円×法定相続人の数』までの保険金は非課税になります。

例えば、父・母・息子・娘の4人家族で父が亡くなった場合、法定相続人は母・息子・娘の3人となるので死亡保険金のうち1,500万円までは相続税がかかりません

預貯金などの現金で相続するよりも、保険金にしておいたほうが税法上お得ですね。

渡したい人を指定できる

死亡保険金は、受取人をあらかじめ指定する必要があります。

支払事由(被保険者の死亡)が発生した場合は、事前に指定した受取人に保険金が支払われますので、資産を渡したい人に確実に届けることができます。

代償分割に活用できる

代償分割とは、分割しにくい遺産を相続した際に有効な遺産分割方法の一つです。

例えば被相続人と同居していた相続人がその家を相続する場合、その代わりに他の相続人に対して一定の代償財産を渡すという分割方法です。

相続財産の代わりに渡す代償財産は現金であることが多いのですが、すぐにまとまった現金を用意するのは難しい人もいます。

分割しにくい財産(不動産など)がある場合は、その財産を相続する予定の相続人を受取人とした生命保険に加入しておきましょう。相続の際には他の相続人にその保険金を原資として代償財産を渡せるので、スムーズに遺産分割することができます。

相続税の納税資金に活用できる

相続財産が預貯金などの現金やすぐに換金できる財産だけであれば問題ないのですが、土地や建物などの不動産の場合、相続税を用意できず困ってしまうケースも多いです。

そこで便利なのが、被相続人の死後に現金としてすぐに受取人に届けられる死亡保険金。生命保険金の受取人を相続人にしておけば、相続税の納税資金として使えます。

相続放棄しても保険金は受け取れる

遺産の中にプラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多かった場合、相続放棄という選択をすることもあります。

実は、相続放棄した相続人でも、生命保険の受取人になっていた場合は死亡保険金を受け取ることができま

資産を増やして遺せる

相続対策に活用できる終身保険の中には、保険料として支払った額よりも遺族に届く保険金の額の方が大きい商品もあります。

まとまった資金があれば、健康状態に関係なく加入できる一時払い(一括で保険料を払い込むタイプ)の終身保険に加入することもできます。

「相続の準備」はじめに考えること

当たり前のことですが、生存中に準備するので、正確な相続財産の金額を出すことは不可能です。

ざっくりで良いので、下記の順で考えてみましょう。

  1. 「生前に消費する財産」と「後世に遺す財産」に分ける
  2. 「後世に遺す財産」の現在の価値を把握する
  3. 「後世に遺す財産」の行き先を考えてみる
  4. 不公平や不満が出るかどうかをイメージしてみる
  5. 不公平や不満の調整方法を考える

二次相続も考慮した財産の残し方まで考えることがポイントです。

また、オーナー企業の後継者問題、不動産管理の問題などは、相続人が肯定的でない場合もありますので、事前に相続人に確認しておいた方が良い場合もあります。

でも、いきなり「税理士に相談する」というのも敷居が高いと感じたり、まだ先のことだから…と思うのも当然です。

しかし、相続の準備は、早ければ早いほど効果が大きいのも事実です。

まずは、「みんなのほけん相談」で簡単な分析をして相続をイメージしてみませんか?